放浪美術館放浪美術館は「放浪の天才画家,裸の大将」で知られる山下清が放浪中お世話になった方々へ御礼に残した作品をはじめ,貼絵作品を中心に各地の窯元で製作した絵付け陶磁器やマジックペンによる点描画・スケッチ作品などを蒐集した美術館です。
山下清は,昭和15年(18歳)に突然,学園を飛び出し,昭和31年まで全国各地を一人放浪して歩いた特異な画家で,この諏訪地方にもゆかりがあり,夏になると山下清は,たびたび涼しい信州に訪れては,諏訪湖の花火を楽しみに観て行きました。
清の作品の中でも,代表的な題材は各地の花火大会で, 「長岡の花火」 「富田林の花火」 「両国の花火」など有名ですが,当館に展示している「諏訪湖の花火」も清が好んで描いた花火作品のひとつです。この貼絵作品の特徴は,湖上に上がる花火が,湖面に映し出されたところまで克明に描き,何重にも貼り重ねる事により,厚みと立体感を出し,細い線は「こより」にするなど,清独自の技法が随所に表現してあります。
精神薄弱というハンデを背負いながらも戦中,戦後の苦しい時代を生き抜き,自由奔放に放浪してきた山下清。普通では考えられない記憶直・観察力,見る人をハッとさせる鮮烈な色づかい,見たままに,感じたままに描く清の作品を通して人間の価値とは何か,文化とは何かについて,あらためて問いかける場であってほしいと願っております。